追い炊きすると汚れやにおいが気になる——その原因はどこにある?
追い炊きをしたときにお湯が濁る、黒いカスや白い汚れが浮いてくる、カビや下水のようなにおいがする——こうした症状に心当たりがある方は、給湯器の追い炊き配管(循環配管)が汚れている可能性があります。
追い炊き機能は、浴槽のお湯を給湯器に引き込んで温め直し、再び浴槽に戻す仕組みです。この循環の過程で、皮脂・石けんカス・水アカ・雑菌が配管の内側に蓄積していきます。放置すると健康面でも影響が出るため、定期的な清掃が必要です。
追い炊き配管が汚れるとどうなる?
- 追い炊き後にお湯が白濁・茶色く濁る
- 浮遊物(黒いカス・白いフレーク状の汚れ)が出てくる
- 硫黄・カビ・下水のようなにおいがする
- 浴槽の壁や底がぬるぬるする
- 肌荒れや湿疹が起きやすくなる(レジオネラ菌等のリスク)
特に追い炊き機能をよく使う家庭や、家族の多い家庭では配管内の汚れが早く蓄積します。1〜3か月に1回程度の清掃が推奨されています。
自分でできる追い炊き配管の掃除方法
市販の「風呂釜洗浄剤(ジャバなど)」を使えば、自分で追い炊き配管を洗浄できます。手順は以下のとおりです。
- 浴槽にお湯(40〜50℃)を循環口の上10cm以上になるよう入れる
- 風呂釜洗浄剤(規定量)を投入する
- 追い炊きを10〜20分運転する
- そのまま1〜2時間(製品によって異なる)放置する
- 汚れたお湯を排水する
- 浴槽をきれいにすすいだ後、新しい水を入れて再度追い炊き(すすぎ運転)
- すすぎのお湯を排水して完了
吸い込み口と吐き出し口が1つにまとまった「1穴タイプ」の場合も基本手順は同じですが、対応した洗浄剤(1穴用)を使う必要があります。取扱説明書でタイプを確認してから選んでください。
洗浄剤の選び方
市販の風呂釜洗浄剤には1穴用・2穴用の区別があります。自宅の浴槽の循環口を確認して選びましょう。
| タイプ | 見た目の特徴 | 対応洗浄剤 |
|---|---|---|
| 2穴タイプ | 穴が上下2つ並んでいる | ジャバ(2つ穴用)など |
| 1穴タイプ | 穴が1つ(カバー付きが多い) | ジャバ(1つ穴用)など |
循環口フィルターの掃除も忘れずに
追い炊き配管の汚れと同時に、循環口のフィルター(アダプター)も清掃する必要があります。フィルターに汚れが詰まると追い炊き効率が下がるだけでなく、雑菌の温床になります。
- 循環口のカバーを外す(多くはひねるか引っ張るだけで外れる)
- フィルターを取り出し、歯ブラシなどで汚れを落とす
- 水で洗い流してから元に戻す
- 頻度の目安:週1回〜2週間に1回
自分で洗浄しても改善しない場合
市販の洗浄剤で対応しても汚れやにおいが取れない場合、配管内部に頑固なバイオフィルム(菌のかたまり)が形成されているか、給湯器本体の内部が汚れている可能性があります。
このような場合は、専門業者による高圧洗浄や配管洗浄サービスを検討してください。費用は1〜3万円程度が目安です。特に以下のケースは業者への依頼が推奨されます。
- 洗浄剤を複数回使っても黒いカスや濁りが続く
- 腐敗臭・硫黄臭がひどく、洗浄後も消えない
- 給湯器の設置から5年以上、一度も配管洗浄をしていない
- 家族に高齢者・乳幼児・免疫が弱い方がいる(レジオネラ菌対策として)
追い炊き配管を清潔に保つための日常習慣
洗浄の頻度を減らすためには、日常のちょっとした心がけが効果的です。
- 入浴後はなるべく早くお湯を抜く(長時間ためておかない)
- 入浴剤は配管への影響が少ないものを選ぶ(硫黄・重曹・炭素系は注意)
- 循環口フィルターを週1回清掃する
- 追い炊き配管の洗浄を1〜3か月に1回行う
洗浄剤は「酸素系」と「塩素系」の2種類がある
市販の風呂釜洗浄剤は、1穴用・2穴用の区別のほかに、成分によって大きく2種類に分かれます。汚れの状態に合わせて選ぶと効果が出やすくなります。
| 種類 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 酸素系(主成分:過炭酸ナトリウム) | 泡の力で汚れをはがす。刺激臭が少なく扱いやすい | 定期的な手入れ。皮脂や石けんカスによる濁り・浮遊物 |
| 塩素系 | 除菌力が高い。独特のにおいがあり、換気が必要 | ぬめりやカビ臭が強い。長期間洗浄していない |
塩素系の洗浄剤は、酸性の洗剤と混ざると有毒なガスが発生します。浴室用の酸性洗剤やクエン酸と同じ日に使うのは避け、使用中は窓を開けるか換気扇を回してください。酸素系と塩素系を続けて使いたい場合も、いったん十分にすすいでからにします。
掃除のときにやってはいけないこと
- 洗浄剤を入れたまま一晩放置する——はがれた汚れが配管に再び付着したり、部品を傷めたりする原因になります。放置時間は製品の表示を守ってください
- 水位が循環口より低いまま追い炊きする——空だきの原因になります。循環口の上までお湯があることを確認してから運転します
- 1穴タイプに2穴用の洗浄剤を使う——2穴用は泡立ちが強く、1穴タイプの給湯器ではエラーや故障の原因になることがあります
- 洗浄後のすすぎを省く——洗浄剤が配管に残ると、次の入浴時に肌への刺激になります。必ず新しい水で追い炊きしてから排水します
- 取扱説明書で禁止されている洗浄剤を使う——エコキュートなど一部の機種は、使える洗浄剤が指定されています
残り湯の追い炊きは汚れを早める
前日の残り湯には、入浴した人の皮脂や汗、雑菌が含まれています。そのお湯を翌日に追い炊きすると、汚れを含んだお湯が配管の中を循環することになり、配管の汚れが進みやすくなります。
お湯を毎日入れ替えるのが衛生面ではもっとも確実です。節約のために残り湯を使う場合は、次のようにすると汚れをためにくくなります。
- 残り湯を使うのは翌日までにする
- 入浴前に体を洗ってから湯船に入る
- 循環口のフィルター掃除と配管洗浄の間隔を短めにする
- 洗濯に使う場合は「洗い」だけにし、「すすぎ」は水道水にする
自動配管洗浄機能やエコキュートの場合
給湯器の機種によっては、浴槽の栓を抜いたときに、新しいお湯や水で配管の中を自動で洗い流す機能がついています。配管に汚れた水を残さないための機能で、汚れの蓄積を抑える効果があります。
ただし、これは水で流すだけの簡易的な洗浄です。すでに付着した皮脂汚れやぬめりを落とす力は限られるため、自動洗浄機能がある機種でも、洗浄剤を使った掃除は定期的に行うのがおすすめです。
エコキュートの場合は、メーカーが使用できる洗浄剤を指定していることがあります。指定外の洗浄剤を使うと故障や保証対象外の原因になるため、掃除の前に取扱説明書を確認してください。
業者に依頼するときの作業内容と選び方
専門業者の配管洗浄は、専用の洗浄機と薬剤を使って、配管の中に洗浄液を循環させる方法が一般的です。作業時間は1〜2時間程度で、浴室を使う作業のため立ち会いが必要です。
- 依頼先——ハウスクリーニング業者の「風呂釜洗浄」「追い炊き配管洗浄」メニューで依頼できます。浴室クリーニングとセットにすると割安になることがあります
- 見積もりで確認すること——1穴・2穴どちらのタイプか、エコキュートに対応しているか、追加料金が発生する条件は何か
- 頻度の目安——家庭での洗浄を続けている場合でも、1〜2年に1回程度プロの洗浄を入れると、落としきれなかった汚れをリセットできます
汚れの色・形から原因を見分ける
追い炊きのときに出てくる汚れは、色や形によって正体が違います。何が出ているかを見ておくと、掃除で落とせるものか、業者に相談すべきものかの判断がしやすくなります。
| 汚れの見た目 | 主な正体 | 対処 |
|---|---|---|
| 黒・こげ茶のふわふわしたカス | 配管の内側についた皮脂汚れや雑菌のかたまりがはがれたもの | 風呂釜洗浄剤で洗浄する。1回で出きらないときは2〜3回くり返す |
| 白いフレーク状・粉状のもの | 水道水に含まれるミネラル分が固まった水アカ、または石けんカス | 洗浄剤で洗浄する。入浴剤の溶け残りの場合もある |
| ぬるぬるした膜 | 雑菌が作る膜(バイオフィルム) | 塩素系の洗浄剤が向いている。循環口のフィルターも洗う |
| 青・緑がかった汚れ | 配管の銅の成分と石けん成分が反応したもの | 浴槽の汚れは浴室用洗剤で落とせる。くり返し出る場合は業者に相談する |
| 黒いゴムのような粒 | 給湯器や配管のゴム部品が劣化して出てきたもの | 洗浄では解決しない。メーカーか業者に点検を依頼する |
黒いカスは、指でつぶすと崩れるなら汚れのかたまり、弾力があって崩れないならゴム部品の劣化と見分けられます。
においの出方で配管か排水口かを切り分ける
浴室のにおいは、追い炊き配管ではなく排水口から上がってきていることもあります。原因が違うと掃除する場所も違うため、先に切り分けておくとむだがありません。
- 追い炊きをしたときだけ、お湯がにおう——配管の汚れが原因です。風呂釜洗浄剤で洗浄します
- お湯を張る前から浴室全体がにおう——排水口や排水トラップの汚れが疑われます。髪の毛やぬめりを取り除き、排水口を掃除します
- 新しく張ったお湯は無臭で、時間がたつとにおう——浴槽内で雑菌が増えています。お湯をためたままにする時間を短くします
家族構成・使い方別の掃除の頻度
| 家庭の状況 | 配管洗浄の目安 | フィルター掃除の目安 |
|---|---|---|
| 1〜2人暮らし・追い炊きは時々 | 2〜3か月に1回 | 2週間に1回 |
| 3〜4人家族・毎日追い炊きする | 1〜2か月に1回 | 週に1回 |
| 5人以上・残り湯を翌日も使う | 月に1回 | 週に1〜2回 |
| 入浴剤をよく使う | 月に1回 | 週に1回 |
あくまで目安なので、お湯の濁りやにおいが気になったら、時期にかかわらず洗浄してください。
入浴剤を使う日の追い炊きに注意する
入浴剤の成分によっては、配管や給湯器の部品を傷めたり、汚れのもとになったりするものがあります。使える入浴剤は給湯器の取扱説明書に書かれているので、一度確認しておくと安心です。一般的に注意が必要とされるのは次のタイプです。
- 硫黄成分を含むもの——金属部品を傷める原因になります
- 塩分を多く含むもの(バスソルトなど)——金属のさびにつながります
- にごり湯タイプ・とろみのあるタイプ——成分が配管やフィルターに残りやすくなります
- 泡の出るタイプ——循環の途中で泡がセンサーの誤作動を起こすことがあります
こうした入浴剤を使った日は、追い炊きを控え、入浴後は早めにお湯を抜いて浴槽をすすいでおくと、配管への影響を抑えられます。
引っ越し直後・長く使っていなかったときは最初に洗浄する
中古住宅や賃貸住宅に入居した直後は、前に住んでいた人が使っていたときの汚れが配管に残っていることがあります。ハウスクリーニング済みでも、追い炊き配管の中までは洗浄されていないことが多いため、入居したら最初に一度、風呂釜洗浄剤で洗浄しておくと安心です。
旅行や出張などで長く家を空けたあとも、配管に残った水の中で雑菌が増えていることがあります。久しぶりに追い炊きを使う前に、洗浄を1回はさんでください。
レジオネラ属菌について知っておきたいこと
追い炊き配管の衛生で特に注意したいのが、レジオネラ属菌です。水の中にいる細菌で、ぬるま湯の温度帯で増えやすく、配管の内側のぬめりの中で増殖します。菌を含んだ細かい水しぶきを吸い込むことで感染し、肺炎を起こすことがあります。
健康な人が家庭の風呂で感染する例は多くありませんが、高齢の方、乳幼児、持病のある方は重くなりやすいとされています。家庭でできる対策は特別なものではなく、次の3つを続けることです。
- 浴槽のお湯は毎日入れ替える
- 循環口のフィルターと浴槽を定期的に洗う
- 追い炊き配管を定期的に洗浄し、ぬめりをためない
洗浄の効果を高めるコツ
同じ洗浄剤を使っても、やり方しだいで汚れの落ち方が変わります。次の点を意識すると、1回の洗浄でしっかり落としやすくなります。
- 入浴後の残り湯を使う——洗浄剤は温かいお湯のほうがよく働きます。入浴直後の残り湯を使えば、水道代もガス代も余分にかかりません
- 水位と使用量は製品の表示どおりにする——お湯が多すぎると洗浄液が薄まり、少なすぎると循環しません
- 循環口のフィルターも一緒に洗う——フィルターが詰まったままだと洗浄液の流れが悪くなります。洗浄の前に外して汚れを落としておきます
- 洗面器や風呂いすも一緒に漬ける——酸素系の洗浄剤であれば、小物を浴槽に入れておくと同時に汚れを落とせます。使える素材は製品の表示で確認してください
- すすぎの追い炊きを省かない——はがれた汚れを配管の外へ出しきる工程です。ここを省くと、次の入浴でカスが出てきます
給湯器を交換するときは配管の状態も確認する
給湯器本体を交換しても、浴槽と給湯器をつなぐ追い炊き配管は、そのまま使い続けるのが一般的です。つまり、本体が新しくなっても配管の汚れは残ります。
長年洗浄していない場合は、交換のタイミングで配管洗浄もあわせて頼めるかを業者に聞いてみてください。交換工事のオプションとして用意している業者もあります。また、浴槽側の循環口の部品が新しいものに交換されるかどうかも、見積もりのときに確認しておくと安心です。
追い炊き配管の掃除についてよくある質問
Q. 重曹やクエン酸でも掃除できますか?
A. 軽い汚れには一定の効果がありますが、配管の奥についた皮脂汚れやぬめりを落とす力は、専用の風呂釜洗浄剤のほうが確実です。給湯器によっては専用洗浄剤以外の使用を勧めていないものもあるため、取扱説明書を確認してください。
Q. 洗浄したら、かえって黒いカスがたくさん出てきました。
A. 配管にたまっていた汚れがはがれて出てきた状態です。カスが出なくなるまで、日を空けて2〜3回洗浄をくり返してください。それでも出続ける場合は、業者による洗浄を検討します。
Q. 洗浄剤は毎回同じ種類でよいですか?
A. ふだんの手入れは扱いやすい酸素系で十分です。ぬめりやにおいが気になってきたときだけ塩素系を使う、という使い分けをすると、配管への負担を抑えながら清潔に保てます。どちらを使う場合も、自宅の浴槽が1穴タイプか2穴タイプかに合った製品を選んでください。
Q. 追い炊きを使わなければ、配管の掃除はいりませんか?
A. 自動でお湯を張るタイプの給湯器は、お湯張りのときにも同じ配管を通ります。追い炊きを使わなくても、配管にお湯が残って汚れることがあるため、頻度を落としてでも定期的な洗浄をおすすめします。
まとめ
追い炊き時の汚れやにおいは、循環配管内に蓄積した皮脂・石けんカス・雑菌が原因です。市販の風呂釜洗浄剤を使えば自分で対処でき、1〜3か月に1回の洗浄が目安になります。
自分での洗浄で改善しない場合や、長年一度も洗浄していない場合は、専門業者への依頼が確実です。清潔な追い炊き配管を保つことで、毎日の入浴をより安心して楽しめます。
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